読むことの苦手さは、ほとんど外から見えません。三回読み直したメールも、写真を指さして注文したメニューも、誰も気づきません。周りに見えるのは、返事が少し遅い人の姿だけです。

そして、めずらしいことでもありません。文部科学省は令和4年、公立学校の通常の学級に在籍する74,919人の児童生徒について、学級担任などに回答を求める調査を行いました。小学校と中学校では、「読む」または「書く」に著しい困難を示すとされた児童生徒が3.5%でした。これは担任などの回答で、医師の診断ではないと文部科学省自身が明記しています。それでも、30人のクラスならおよそ1人という計算です。

学校ですでに使えるもの

保護者の方は、まずここから。発達障害などにより紙の教科書を読むことが難しい児童生徒は、音声教材の提供を受けられます。パソコンやタブレットで教科書を読み上げる教材です。令和8年度は文部科学省の委託を受けた4つの団体が製作し、原則として無償で提供しています。令和6年7月19日からは、日本語指導が必要な児童生徒も対象になりました。学校や教育委員会に相談してみてください。

教科書の外にある文字

音声教材が読んでくれるのは教科書です。でも一日の中には、それよりずっと多くの文字があります。金曜日に配られたプリント、ホワイトボード、区役所から届いた書類、お店のおすすめの黒板、箱の説明書き、エレベーターに貼られたお知らせ。たいていは短くて、こちらに求めていることは一つだけです。カメラと声は、まさにそういう読み方に向いています。

Glimpseでの使い方

iPhoneでGlimpseを開き、カメラを紙に向けて「これを読んで」と言うだけです。Glimpse Glassesをかけていれば、見て聞くだけ。自然な声で読み上げ、途中で止めたり、戻ったり、一部分だけ聞いたりできます。

読むことが苦手な人にとって便利なのは、そのあと続けて質問できることです。一語ずつ全部読むのは時間がかかって疲れますし、紙から知りたいことは一つだけ、ということもよくあります。

ウェイクワードがないので、一度セッションを開けば、肩越しに友だちが読んでくれているような感覚で話を続けられます。答えまでの手間が一つ増えるたびに、あきらめて推測したくなるものです。その手間を、ほとんどなくせます。

うまく使うコツ

紙は平らにして、画面いっぱいに映してください。Glimpseはおよそ15秒ごとと、話しかけたときに画像を送るので、聞いたあと少しだけ動かずにいると確実です。角度にこだわるより、明るい場所のほうが効きます。

長い書類なら、まず短くまとめてもらい、大事な部分だけ読んでもらいましょう。何度も確認すること、たとえば会社に行くバスの番号などは「覚えておいて」と言えば、アプリを閉じてもメモが残ります。

書くことは、また別の問題です。Glimpseは声で答えるので、書類を代わりに記入してはくれません。できるのは、それぞれの欄に何を書けばいいかを教えることです。たいてい、時間がかかるのはそこです。

学校と職場で

学生の方は、授業中にカメラを使う前に先生に相談してください。スマートフォンについて決まりがある学校も多く、先に相談しておけば読み上げの道具として認めてもらいやすくなります。小さなお子さんなら、上で紹介した音声教材から始めるのがおすすめです。

職場で同僚の画面にスマートフォンを向けるときは、ひとこと伝えておきましょう。メガネを初めて見る人の前でかけるときも同じです。詳しくは顔にカメラをつけて出かけるときに書いています。

できないこと

Glimpseは読み書き障害(ディスレクシア)の検査はできませんし、治療や指導法でもありません。ご自身やお子さんの読み書きが気になる場合は、学校や医療機関に相談すれば、きちんとした評価につなげてもらえます。また、手書きの文字や暗い場所の小さな文字では、まちがえることもあります。請求書の金額のように大事なものは、必ず自分でも確認してください。詳しくはAIグラスにできないことに書いています。

まずは今日の郵便物で

最近届いたもので、あとで見ようと置いたままの三通を手に取り、それぞれ何を求めているのかGlimpseに聞いてみてください。iPhoneなら無料で毎日使えますし、メガネなら同じことを両手を空けたままできます。

よくあるご質問

Glimpseでディスレクシアかどうか分かりますか?

いいえ。医療機器ではなく、読む力の検査もしません。学校や医療機関に相談すれば、きちんとした評価につなげてもらえます。Glimpseは、紙を読み上げてもらうという毎日の用事のためのものです。

手書きの文字も読めますか?

はっきり書かれていて明るい場所なら、たいてい読めます。くずれた字や、灰色の紙に鉛筆で書いた字は苦手です。答えがおかしいと思ったら、近づいてもう一度聞いてください。

音声教材とは何ですか?

紙の教科書を読むことが難しい児童生徒のために、パソコンやタブレットで教科書を読み上げる教材です。文部科学省の事業で製作され、原則として無償で提供されています。学校や教育委員会に相談してください。

メガネは必要ですか?

いいえ。GlimpseはiPhoneのカメラで、無料で毎日使えます。メガネならスマートフォンを持たずに同じことができるので、看板やホワイトボードを読むときに便利です。